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2009年5月30日 (土)

宮部みゆき「英雄の書」

宮部みゆき「英雄の書」

SFです。最近の彼女のパターンで現実的ワイドショー的な事件が入口でSFの世界にタイムスリップしていく。読む人はどっちの世界に立つのか混乱すると思うな。私はOKだけど。結局現実に立つならお兄ちゃんはどこにいっちゃったの?という結論がしっかり出ていないからなんだかなと思う。SFの側に立つならあまりにも導入部と全体の世界が違い過ぎて納得できない。

それはそうとこれに出てくる「英雄」の概念がおもしろいのです。彼女の考えではこの今の21世紀の社会では英雄は犯罪者、ダークヒーローなのです。そりゃそうですよ、戦争で人を殺すのが英雄なんだから。同時にワーグナーの「英雄(ヘルデン)」の概念に近いものがあると読んでいてそっちの方が気になっちゃった。

この英雄は英雄的行為をしようとするあまり現実世界の規範は崩してしまう。ドイツ人国家を作ろうとユダヤ人を虐殺したヒットラーのように。そういうものを批判している意図もあるのかなと。

それから現実世界の対極にパラレルワールドのようにある世界、これが「物語の世界」=フィクションの世界なのだ。人間はこれを生み出さずにはいられないという話。これもなんかすごくわかる気がするのよね。人間は現実だけでは生きていけないので無数の幻想を生み出しそれに陶酔しながら、麻痺しながら生きているんだ。

あたしもそうだ。多分作者もそうなんだ。現実ではいっしょけんめい仕事をし家事をしているけどまったく別の世界がないともう生きていけない体になっている。

それが今の日本人。

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